伊賀崎に御座います。変装術というものがございまして・・・
毎度いきなりご無礼をば伊賀崎に御座います。
先達て7/17の名古屋城では大変暑い中お足を止めて下さった方々、心より御礼申し上げます。
私等隠密隊、今年六回目の登城、観覧限定演武の多い隠密隊ですが、だいぶ見知ったお客様をおもてなしする事が出来るようになりました。
やはりどんなに過酷な暑さの中であっても、お客様との語らいは何よりの励ましであり、一番の癒やしと、この道順喜んでおります。
私道順、お客様とお写真を撮る際、愛刀をお貸しする事が多々あるのですが、偶にとても自然な形で刀を握られる方もいらっしゃいます。
その自然な佇まいに思わず道順、おもてなし態勢から切る態勢に移行してしまいそうになることも屡々。
お伺いすれば、大概某かの形で刀や甲冑に携わっていらっしゃるとか…
いくら南蛮の装いをしていらっしゃっても滲み出る何かがあるのでしょうな。
忍の術の中に変装術と言う物が御座いまして、こちらは字の如く装いを変える術なのですが、とても重要で難しい術に御座います。
忍務の中には当然、某かに扮し、影武者を演じたり、情報を収集したりしますし、逆にその変装を見破る事を求められますれば、忍びはその洞察力と表現力を鍛えます。
討ち取ったは良いが影武者でしたとか、敵とは知らず重要な情報を漏らしてしまうなんて事が無いように注意深く観察し違和感を感じ取る様にします。
また変装する側も姿形を変える事より、如何に自然な仕草や佇まいであるか?といった事が重要になります。
例えば私が商人に扮し「自分は商人だ!商人だ!」と叫んだ所で、和算も出来ない、最新の算盤さえ知らなければ、商人達の笑い種になるでしょうし、ふとした拍子に抜き足やら差し足で歩いては一目で忍びとバレてしまいます。
故に変装術を使いこなすには、それぞれの特徴を如何に細かく捉え、記憶し、滲み出る雰囲気にて人を欺く事、が肝要になります。
ただ、この道順、実は記憶をする事が些か弱く、はて?どこかで見たような…などと言うこともしばしば…
変装術を使いこなすにはまだまだ修行が足りませぬな…
やむなく変装術を使わねばならぬ際はくれぐれも「容姿だけを真似ている」などと嘲笑されぬように修行あるのみ。
そこで皆様、どうぞこの道順を鍛えてやって下さいまし。
演武後などに「今回はこれこれでしたね」「前回はなになにでしたね」等、どんな言葉でも構いませぬ故、お声掛け下さい。
さすれば如何な私と言えども徐々に人の顔を覚えますし、皆様のお声掛けあれば、道順重畳の至りと更に励みましょう。
今後も皆様と共にあらんとする隠密隊をどうぞご贔屓に。
伊賀崎道順