伊賀崎に御座います。ここいらで、ちと私ら徳川隠密隊のおさらいをば…。
毎度いきなりご無礼をば伊賀崎に御座います。
先立ては徳川隠密隊、結成二周年イベントってのを開催させて頂きまして、沢山の御列席、御祝辞、誠にありがとうございました。
お初の方々もご贔屓の方々も如何でしたでしょうか?
ここいらで、ちと私ら徳川隠密隊のおさらいをば…。
私ら徳川隠密隊は、服部半蔵保長様の妖術によりその魂を蘇らせ、当時全盛期の肉体に近しい依代に憑依させて頂いております。
私なんぞも結成当初から居りますが、始めの一年はそれはもう、こちらの言葉や慣習に慣れるので精一杯でございましてな…。
なかなか流暢に語ることもままならず、そうこうする間に星巡りの関係で一度霧散、今は二度目の顕現に御座います。
この様な話をさせて頂くと「私ら隊の面々は保長様のご意志で蘇ったなら、保長様はいったい何の意志で蘇ったのか?」なんてご質問も見受けられますが、そこは私らにも解らず、当の頭領自身も笑って誤魔化されるだけでしてな…。
ただ正直な所を申せば、どうやって蘇ったのか?は私にとってそこまで問題では無く、何故蘇ったのか?の方が些か疑問に御座います。
言えね…。
これが武将様と言うのなら解り申す。
当時、自国の繁栄や全国制覇を目指しておいででしたでしょうし、またそのお方を支えて共に歩むことをしておいででしたので…。
夢半ばに逝ってしまわれるのはそれはそれは無念でしたでしょう。
その思いが時を越え、形を変えて今に蘇るってのなら解り申すが、私ら忍びは野犬や狼みたいな物で、喰うため、家族や仲間を守るために戦をしていたようなもの、斬れと言われれば斬り申したし、謀れと言われれば謀り申した。
下手をすれば人形の様なものに御座います。
そう思いますれば、何の意志を持って蘇ったので御座いましょうな…・
強いて言えるならば、人形には人形の矜持ってのがありまして、如何に使いやすく有能な人形足り得るか?と、我等忍びは己が肉体を精錬させます。
もしもそれが唯一の物ならば、姿形に関係なく、その精神性をお伝えするべく蘇ったのやもしれませんな…。
さて、そんな思いで成り立った徳川隠密隊、色と色の合わせをお楽しみ頂いた二周年イベント、今年の三年目はまだお見せしていない個々の色の特集に御座います。
第一段は魔矢と正重による『傀儡乱舞』両名の忍びの精神性の具現化お楽しみ頂けましたでしょうか?
この術は、術者の技量にもよりますが誰でも操れる訳でもなく、魔矢と正重、二人でさぞかし共感性高める鍛錬を行ったので御座いましょうな…。
脇から見ておりますれば、それはさながらぱ・ど・どぅのようにも見えて参ります。
七月の第二段は私伊賀崎が務めさせて頂きます。
隊では補佐的な私ですし、相変わらず斬るだの燃やすだのしか出来ませぬが、御下命賜りますれば傀儡よろしく仕上げてみせましょう。
お届けするは『御前試合』と『火遁殺陣』。
対するは百地様と正成殿に御座います。
常より飄々としておりますが、この時はこの道順、爪を、牙を研ぎ澄ませ、一匹の餓狼となりて皆様のお心に我が色『青』を刻み、燃え上がらせるべく、精を尽くしましょうぞ。
今後も隠密隊をどうぞご贔屓に…。
伊賀崎道順